ジークンドーの強さと魅力。そして日本で普及があまり進まない理由。

今回はブラジリアン柔術から少し話題が逸れてしまうのですが、ジークンドーについてのお話です。

数年前にジークンドーの練習をしていた時期が少しだけあるのですが、技術がシンプルかつ合理的で大好きでした。ただ、日本で普及が成功しているとは言い難い現在の状況はとても残念です。

僕が所属していたのはジークンドー界で「コンセプト派」と呼ばれる、お笑いの品川祐さんやV6の岡田君が所属している団体。残念ながら不整脈とケガの影響で継続を断念したのですが、病気が完治したこともあって以前から興味があった「オリジナル派」の練習にも参加してみました。

この経験から分かったことをまとめてみましたので、これからジークンドーを習おうと考えている方や、国内普及を目指すブラジリアン柔術界の方たちにも参考になると幸いです。

ジークンドー とは

「ジークンドー」とは、ブルース・リーが考案した打撃・投げ・極めなどの全局面で戦うことを想定した総合技術体系です。

ブルース・リーが活躍した1950年代には「総合格闘技」というものがなかったので、中国拳法をベースにボクシング・ムエタイ・フェンシング・柔道などの武道の使える技術や戦術を取り入れ、通常は禁じ手とされているサミングや金的攻撃なども練習して「最短で相手を倒す」ということに特化しています。

最大の特徴は、強い力を生み出せる利き手を前に構えて「最短距離で強打を相手に到達させる」こと。フェンシングのように遠い間合いから、一気に踏み込んで前に構えた利き手からの強打を相手に叩き込みます。

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世界に先駆けてオープンフィンガーグローブを考案してスパーリング練習するなど、本物の強さを求めて革新的な挑戦をしていましたが、残念ながら1973年に32歳の若さでブルース・リーは死去しました。もし彼が生きてこの武術を完成の域まで到達させていたらと・・・思うと残念でなりません。

ジークンドーが日本であまり普及しない理由

ブルース・リーが32歳の若さで死去してしまったため、ジークンドーは志半ばで弟子たちにその意志が引き継がれました。しかし、始祖であるブルース・リーの残した言葉の解釈の違いや、さまざまな利権・派閥争いなどもあって団体としてのまとまりがなく、現在も日本には同好会があるのみで正式な常設道場がない状態です。

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オリジナル派とコンセプト派の違い

オリジナル派とは

リーの弟子でスパーリングパートナーでもあったテッド・ウォンを筆頭としたグループ。リーが最終的に到達したファイトスタイルを継承しているとされています。

ジークンドーの最大の特徴とも呼べる「ストレートリード」を核とした技術体系で、フェンシングのようにシンプルかつスピーディーながら破壊力の高い打撃とフットワークが特徴です。

始祖であるブルース・リーが最もベーシックとしたテクニックを重視するところなどは、ブラジリアン柔術界で例えると「グレイシー」のような存在なのですが、残念ながらアメリカでの裁判などの泥沼の派閥争いの結果、ジークンドーの名義使用が許されていない状態にあります。

代表的な国内団体

コンセプト派とは

ブルースリーからジークンドーを継承したとされるダン・イノサントを筆頭としたグループ。ブルースリーの「良い物は積極的に取り入れて悪い物は捨てる」という思想から「色々な武術の良いところを取り入れて取捨選択し、その人独自の武術スタイルを創造する」という方針で、様々な武術の練習をします。

USA修斗・カリ・シラットや詠春拳のトラッピングなどの多岐にわたる武道の技術を練習したり、支部によってはMMAの講師を招いたりもすることもあります。特定の型にはまらずに学び続けることを良しとするので、インストラクターのバックボーンや方針によって教えていることが違っていたりします。

ただ、日本で唯一の公認団体となったコンセプト派のIUMA日本振藩國術館が正式な道場を作ることなく同好会としての活動のみとなっており、ミタチ・アカデミーは常設道場を作ったが非公認道場とされているため、日本国内には正式な常設道場がないという状態が続いています。

代表的な国内団体

いまどきは「名探偵コナン」がきっかけらしい

最近になって「オリジナル派」の練習を体験にいった際に、どういうきっかけでジークンドーを始めたのかを練習している方たちに聞いてみたところ、全員がブルース・リーの影響ではなく「名探偵コナン」からジークンドーを知ったとのことでした。ブラジリアン柔術も、将来マンガから人気に火がついたりするのでしょうか。

ちなみに私がジークンドーを始めた理由は、たまたま古本屋で格安で手に入れたジークンドーの教則本から興味を持ったのと、練習場所が自宅から近所でした。

ジークンドーで強くなれるのか?

私はコンセプト派と呼ばれる団体にいたのですが、練習している人たちを観察しているとバックボーンに何らかの武道をやっていたベースがある人でないと何年やってもなかなか上達できていない気がしました。

まずコンセプト派の「色々な武術を修行して、その人独自の武術スタイルを創造する」という考え方は、ある程度の技術・体力的なベースのある人が挑むべきステージであり、全くの素人が最初から目指すのは難しいのだと思います。

練習でジークンドーの基本であるストレートリードやトラッピングなどの練習のほかに、カリ・シラット・USA修斗などの、投げ・寝技・武器を使った練習を不定期でやりますが、ほとんどの人が週に1回程度の練習量であまりにも幅広い分野に触れるので、定期的に自主練習したりプライベートレッスンを受講するなどしない限り全てが中途半端な練度になっているという印象。

ブラジリアン柔術で例えると「技マニア」の状態と似ていて、教則DVDやテクニック動画で新しい技術トレンドを追いかけるあまり、いろいろとテクニックは広く浅く知っているけど、全てが中途半端で強くはないという感じでした。素人から強くなりたいなら、最低でも週2〜3日以上練習して、なおかつ補強運動を毎日やって基礎体力から鍛えないと厳しいかなと思いました。しかし、空手や他の武道経験者で技術と体力のベースがある人なら問題ないと思います。

オリジナル派は「ストレートリード」の技術を徹底的に磨いて、それを活かすためのスキルを中心に練習していて、ストレートリードの技術の応用として武器の使い方も練習をするので、こちらのほうが効率的に強くなれる気がしました。ただ、こちらも素人から上達するには週2〜3日以上練習して、なおかつ補強運動を毎日やって基礎体力から鍛えるくらいでないと強くはなれないと思います。でも、学ぶことがストレードリードを中心に特化されているので、技術的な成長は早いかもしれないです。

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ジークンドー はブラジリアン柔術に使えるか?

ジークンドーは相手のリーチが届かない「遠めの間合い」から一気に距離を詰めて先制攻撃を加えたり、相手の先制攻撃を遮ると同時に攻撃を加える「攻防一体」に特色があります。

その中でも、相手の攻め手を未然に潰す「トラッピングの技術」がブラジリアン柔術に応用できるように思います。ブラジリアン柔術のプレッシャーパスでの肩・肘・膝や重心の使い方が、ジークンドーのトラッピングの理合とすごく似ているので、ブルース・リーが生きていればこれはグラウンド状態のトラッピングだと評価する気がします。

また、スタンドからのテイクダウンやサブミッションなどもあるので、工夫次第ではブラジリアン柔術にも応用できると思います。

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まとめ

オリジナル派の石井東吾さんが、RIZINで活躍中の矢地選手のYouTubeチャンネルに出演されてジークンドーへの注目度がものすごく上がっています。ジークンドーの技術は本当に素晴らしいものがあるので、もっと世の中に知ってもらいたいなと思います。

この動画で紹介されているストレートリードは、オリジナル派の筆頭テッド・ウォンの弟子テリー・トムが書いた「ストレートリード」という技術書の動きそのもの。本物の武術家の技術を現役プロ格闘家が体験して、生の声で凄さを伝えているところに面白さがありますね。そして、矢地選手の飲み込みの速さも尋常じゃないです。

おまけ

この記事が面白かった方は、これを読むとジークンドーへの理解がさらに深まると思います。

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